身体介護と医療行為の注意点

利用者の自宅で行う訪問介護の仕事は、身体介護と生活援助に分けられます。どちらも利用者の日常生活動作や生活の質を維持し、利用者自身が前向きな気持ちで過ごせるようにサポートする仕事です。訪問介護の業務を行うには介護職員初任者研修を受講し、試験に合格しなければなりません。

訪問介護における身体介護とは、利用者の身体に触れて行う介助のことをいいます。具体的には利用者の食事をとるのを手伝う食事介助や、利用者が入浴できるよう準備やサポートをする入浴介助などが挙げられます。利用者の着替えの手伝いや排せつの介助、床ずれを予防するために体位交換なども、身体介護に分類されます。調理や掃除、買い物などの生活支援とは区別されますが、密接な関係にあります。

身体介護で注意したいのは、医療行為はしてはならないという点です。たんの吸引や経管栄養、点滴、注射、床ずれの処置などは医療行為に含まれ、利用者に頼まれたとしても行ってはいけません。なお、たんの吸引と経管栄養については例外的に介護職員が行えるケースがあります。勤務する訪問介護事業所が「登録喀痰吸引等事業者」で、なおかつ2017年以降に介護福祉士に合格した人が該当します。

喀痰吸引等研修の実地研修を受けることで、これまで介護職員ができなかった、たんの吸引や経管栄養などの身体介護を行えるようになります。それ以外でも勤務先が「登録喀痰吸引等事業者」であれば、喀痰吸引等研修を受けることでたんの吸引や経管栄養ができます。